「瀬戸内の旅」

長い休暇をたっぷり使って四国周辺を旅行してきました。
目的としては「瀬戸内アートの島への観光」です。
ルートは徳島県-香川県-岡山県-兵庫県の順路で、目的である島への観光を重点に置き、旅路には興味のある場所を設定した綿密な予定を仕上げておきました。

初日の目的地は徳島県の神山町です。
最近、メディアで耳にしたことがある「里山」や「村おこし」という活動が実際に成り立っている場所です。
神山町では「WEEK神山」への宿泊と周辺の散策、神山町自産の食事を堪能しました。
現代では都会から離れ、落ち着いた里山で仕事をするという選択も増えているのではないでしょうか。
客室は、シンプルなデザインで大きな硝子窓に縁取られた新緑が夕方と朝の風景を演出してくれました。
地域内については、古民家を改修したフランス料理店やオフィス、地域民待遇の(カフェ)食堂など目新しい場所へ活気に伴い、移住者も増加しています。
今後は集合住宅の建設予定もあると聞きました。
生まれ故郷を離れ、移住する人生計画も流行りの一つでもあるかもしれません。

2_m.jpg

WEEK神山

2日目は、念願の直島へ。
直島を「アートの島へ」の歩みは約30年以上経て、現在は観光スポットとなっています。
直島での目的は建築士 安藤忠雄氏の地中美術館です。
直島へは香川県から車ごとフェリーで移動し、午後13時には到着…
地中美術館の人気は非常に高く、昼過ぎに窓口へ駆けつけたにも関わらず
入館予約16:00時の最終をやっと獲得したほどでした。 

夕方までドライブし、念願の安藤忠雄氏の建築空間へ。
地中美術館というくらいですから地中にある美術館です。
館内を上がり下がりしているうちに、出口がわからない空間にいるように感じます。
さらに曇り空のせいで、太陽から方角も分からない…
その日の閉館時間までコンクリートに切り取られた空を眺め、夢が一つ叶ったのでした。

3_m.jpg

直島からの眺め

3日目は、直島から豊島へ。
豊島は、島の四方にアーティストが制作した建築物があり、
「建築美術島」と表現できそうな島です。
豊島美術館が主に人気を集めているようで、この美術館本体が作品となります。
大きな「しずく」のようなフォルムの建築作品には、自然に雨や風が入り込む構造で
その空間へ入れば朝露が風になびき、無数の水玉が床面を生き物にように移動しています。

丸く切り取られた天井から日光が指し込み、無意識に座り込んでいました。
何もないという表現はここでは適していないようです。

昼食も取るのも忘れて過ごしていた夏休みを思い出します。
瀬戸内の日差しを浴びながら、オリーブ畑を横切って、坂を越えれば海が見えました。
自転車のハンドルを握った日焼けの跡から夢中になって遊んだ時間を実感したのでした。

4_m.jpg

豊島からの眺め

その後は、岡山県から兵庫県へと車を走らせ、岡山県倉敷市の町並みから歴史を感じつつ
西粟倉温泉へ、兵庫県では竹中大工道具館と横尾忠則美術館にて旅を締めくくり、
贅沢にも巨匠の産物を目前にできた念願の旅となりました。

1_m.jpg

竹中大工道具館

現在は「情報は検索、欲しいものは明日には届く」ように、
とても便利な世の中になっていて、そのことから現地へ出向くことが
以前よりも減っていることに気づきます。

その中で現地へ「足を運ぶこと」は、
その土地を体験しに行く贅沢な時間の過ごし方であると改めて実感したのでした。

総川